『聖剣の刀鍛冶 4 Hero』(三浦勇雄)

聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス)〈4〉 (MF文庫J)

聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス)〈4〉 (MF文庫J)

今回はもう、とにかくよかった。
ようやくルークに見せ場が、とか、そんなので流してあとは胸の内に仕舞い込んでおこうかとおもったけれど、とてもじゃないけど出来ないくらいに。
「ヒーロー」という言葉に、「英雄」というクソ喰らえな文字をあてず、あえてあの字をあてたことも、ただ見上げるだけの対象としなかったことも。
これまでそうだったように、誰も彼もを、完璧からはほど遠い――剣技において圧倒的に優れるルークもまた、「聖剣の刀鍛冶」にはなお遠い――されど折られても打ち直されてさらに強くなる「刀」として描いていることも。
この物語そのものを鍛錬ととらえるなら、折り返しは既に十分。
また一つ、物語は聖剣へと近づいていく。
ええそりゃもう、146Pに超絶がっかりな誤植があろうとも!
ごめん嘘あれはなんとかして! 求む第二版!
……はまあさておき。
相変わらずキャンベル家の思わせぶりな設定が健在だったりして、そーゆーのはあまり僕の好まないところ……なはずなんですが。
この話に関してはさっぱりそこを心配していません。
なんとなれば、たとえ彼女の役割がなんであれ、セシリー・キャンベルはセシリー・キャンベルとして、ルーク・エインズワースの、リサの、アリアの、その他大勢の全ての人とともにあろうとするはずだから。
当初から一貫して変わらない、そんな彼女の姿が実に心地いい。
それに今回、もういいんじゃないかと思っていたあの台詞も口にしなかったことだし。
しかし、この主要陣が皆それぞれにどこか不完全で、それを補い合い、あるいは支え合い、互いに互いを「鍛錬」していく姿は、まさに刀鍛冶。
もう「Blacksmith」が最終巻サブタイトルでいいんじゃ、と思うんですが既に使用済み。
そこにいったい何を持ってくるのか、非常に楽しみです。